【2023年8月】読み終わった本とか
8月あたりから読書ペースが復活してきた。
ビジネス書
野田稔『組織論再入門 戦略実現に向けた人と組織のデザイン』
矢本治『なぜミーティングで決めたことが実行できないのか』
菊原智明『決定版 営業心理術大全』
小説・フィクション
ホリー・ジャクソン『卒業生には向かない真実』
イバン・レビラ『深い穴に落ちてしまった』
ジェフリー・ディーヴァー『ブラック・スクリーム』
ピーター・スワンソン『8つの完璧な殺人』
その他(趣味)
マーク・フィッシャー『奇妙なものとぞっとするもの 小説・映画・音楽・文化論集』
【2023年4月】読み終わった本とか
ビジネス書
メン獄『コンサルティング会社完全サバイバルマニュアル』
私の仕事におけるコミットメントとか誠実さに関する価値観は、思えば相当の部分をこの方に影響されているなあ。おそらくそういう人はきっと沢山いて、着実に社会を変えているのではないかな…。一連のツイートやテキスト、自分の限界はここじゃないと思わせていただいている。
楠木建『ストーリーとしての競争戦略』
コモディティ化した業界でシェアを取っていくには爆裂に生産効率を上げるか合理的な逆張りをするかになるよね、という本(暴訳)。性格的に前者を選び(逃げ)がちだけど、後者を発見してベットできる知見と構想力、そして勇気を身に着けねば。
宮木幸一・郡山幸雄『多数派の専横を防ぐ 意思決定理論とEBPM』
多数決より公平な投票(意思決定)手段や事例をとりあげた本。面白かったが、ざっくり言ってしまえば「よりフェアな多数決とはなにか?」という本で、会社組織における合理的な意思決定を期待して読んだ私の目的にはそこまでフィットしなかった。明確な上位決裁者が存在するなかで組織として合理的な意思決定を選び続ける方法を学びたい。
小説
小高和剛『ダンガンロンパ ゼロ (上・下)』
某お嬢様の実況動画を観て購入。江ノ島盾子はもとより、むくろお姉ちゃんが好きですね…🤔
チャン・ガンミョン『極めて私的な超能力』(吉良佳奈江 訳)
表題作の「極めて私的な超能力」、数ページの短編なのだけどSFでエモでトレンディで良かった。青春モノにSFが接続してくるのは今となっては定番だけど、こういう接続のされ方も面白いなー。
ウラジーミル・ソローキン『愛』(亀山郁夫 訳)
Twitterでは最早おなじみソローキン。端から端まで気が狂ったテキストなのだが、脈絡がなさすぎて普通に映像化困難=テキストでしか成立しないのでむしろ文学としてすごく純度が高い…のか? 収録作の大半が唐突に嘔吐/排便/排尿/射精する話なのだが……
【2023年3月】読み終わった本とか
ビジネス書
涌井良幸『統計力クイズ』
未学者の立場からしても全体的にかなり易しかった(どこかで見たことある問題が7割)が、統計的な考え方のエッセンスをインストールするには丁度良いのかも。統計と数学、いい加減にちゃんと修めねば……。
マイケル・フレンドリー/ハワード・ウェイナー『データ視覚化の人類史』(飯嶋貴子 訳)
実務に役立つタイプの本ではなかったけど、各データビジュアライズの発明/受容とそれが歴史をどう進めてきたかという切り口にフォーカスした内容なので、俺も身の丈+α分くらいは頑張ろうとなった。
マーティン・カイン/クリス・オハラ『カスタマーデータプラットフォーム デジタルビジネスを加速する顧客データ整理』(トップスタジオ 訳)
読みさしで積んでたのを読んだ。現職の業界柄、中長期的なCSR活動ってインパクトが見えづらい部分はあるんだけど、それでもどこかで整備せねばなあ。ツールはあるわけだし。
小説・フィクション
柳田国男『遠野物語』
遠野物語おもしれ~。この時代に生きてたらこの手の怪談めちゃくちゃ信じてるんだろうな、と思っちゃうくらいの息遣い、農務官僚やりながら出張ついでの自分の趣味でこれ書いて最終的に枢密院顧問やってるの激ヤバキャリアすぎる。
斜線堂有紀『君の地球が平らになりますように』
短編集。主要人物が地下ドル、ホスト狂い、陰謀論者ガチ恋女…とアウトサイダーばかりで、恋愛のために常に何かしらを天秤にかけさせられている様が地獄(※)、であるがゆえに切実。面白かったなー。(※同義語:しんどみが深い)
三津田信三『山魔の如き嗤うもの』
シリーズ4作目かな?過去4作のなかではミステリとして一番ウェルメイドだと思う。そのぶん丁寧に読めば早い段階で真相を看破できてしまうのだけど、伝記ホラーとしての面白さも突出していて、総じてすごくエンタメ度が高い。面白かった。作者はめちゃくちゃサービスの人なのではないかと思う。
白井智之『名探偵のはらわた』
歴史に名を残す猟奇殺人犯たちが地獄から蘇って…という特殊設定の連作短編集、初めて読む作者だったけどキャラも論理も好きな感じ。タイトルの「はらわた」が主人公の名前(原田亘:通称はらわた)由来なのはアウトコースを攻めすぎているような気もする。
西村京太郎『殺しの双曲線』
まさかの未読、愛蔵版が出るということでその前に文庫で読んだ。文庫がめちゃくちゃ面白かった愛蔵版を買おうと思ったのだ。面白い、確かに面白くて一気読みしたけど、この傑作を下敷きにした後発の傑作を大量に読んだせいで若干薄味に感じたのが無念。(それを置いても「双曲線」の連絡がどうも有機的じゃないような気はする)
劇作家協会 編『優秀新人戯曲集 2023』
八木橋努「僕らの城」嫌な話で良かったな…。うらぶれたバーを再生しようとした新オーナーが常連の古参爺達と大揉めして誰も救われない話。戯曲って会話主体で物語を展開していく都合か、カタルシスが歪んだ話が多い気がする(偏見)。
その他(趣味)
パスカル『パンセ』(由木康 訳)
キリストを信仰すべき理由を滅茶苦茶合理的に諭してきて面白い。個人的にはこれからも特定の神を信仰することはないと思うのだけど、そういう生き方もなんかアリかも…と思いを巡らせてしまった。それはそれとしてパンセ氏、全体的に性格悪くて好戦的なので現代に生を受けていたらアルファツイッタラーとして花開いていたと思う。
【2023年2月】読み終わった本とか
ビジネス書
江崎貴裕『数理モデル思考で紐解く RULE DESIGN』
人間の不合理性(全体最適と部分最適は一致しない)を念頭において正負両方のインセンティブ設計をしなきゃねみたいなことは常から意識しているけど、ルールへのフィードバックプロセスの設計はそういえばあまり考えたことなかったかもしれない。
副題にある「数理モデル思考」はよくわからなかった。行動経済学的な切り口の本なので必然的に数字は出てくるけど、それを「数理モデル思考」と呼ぶものなのかはなんとも。
安斎響市『すごい面接の技術 転職活動で「選ばれる人」になる唯一の方法』
仕事柄、この領域には一家言あるが、この本は自分とすごく"流派"が似ている部分があって良かった(安心した)。これから転職活動する人にもおすすめできそう。なにか一冊読むとなったら本書か細井智彦『転職面接突破法』ではないだろうか。
中谷一郎『オペレーション科学: 努力に逃げない「これからの組織」を作る』
現職が結構オペレーショナルエクセレンスを追究することの価値が高い業界なので読んだ。社内システムにヒートマップツールとかいれたいですなあ。クエリログの分析(メモ)。最高に合理的な業務環境を整備したい。(あわせて山口芳夫『サイゼリヤ革命 世界中どこにもない"本物"のレストランチェーン誕生秘話』を読むと高まる。再読しようか。)
西口一希『顧客起点の経営 企業の「成長の壁」を突破する改革』
シンプルに何かしらのヒントを得たくて読んだ。書かれていることにはなにひとつ異論はないが、自分の業務内容と直結させるにはもう少し本書を読み返す、あるいは周辺図書を読んでtipsを集める必要がありそう。
小説
フランシス・ハーディング『カッコーの歌』(児玉敦子 訳)
『嘘の木』があまりにも良すぎて、読了後すぐに買って読んだ。こちらは全面的にファンタジーだけど、「じぶん」というテーマはどうやら共通。多様なアイデンティティへの暖かな許容(時に後押し)が読んでいてうれしい。
それはそれとして『嘘の木』は大傑作。自分の中のベスト10が久々に塗り替えられる感覚があった。宮部みゆき先生が書評「終盤の母娘の会話に、私は涙してしまいました」と書いているのだけど、本当に終盤の母娘の会話が素晴らしいのです。
芦花公園『異端の祝祭』
めちゃくちゃ好みでびっっくりした。現実の宗教とリンクしたホラーというか、
・人間の軽率な行動で日常が
・上位存在(≒神々)の世界と接続されてしまい
・取り返しのつかないことになる
みたいなジャンルが私は大好き…。
芦花公園『漆黒の慕情』
前作が刺さったので続刊も立て続けに読んだ。『異端の祝祭』よりは等身大感(?)のあるストーリーだったけど何はなくともキャラがいい、「非凡な探偵&凡人のワトソン」のバディ物と見せかけてワトソンの方が歪んでる関係性も私は大好き……
芦花公園『聖者の落角』
探偵役のモノローグから開幕、全体的に冒頭が不穏すぎる…モノローグが解禁された探偵は必ず死ぬので…(不正確)。片山敏彦の自己肯定感が開花して世界一美しい顔のおもしれー男になっている、片山敏彦!!!
読んで以降、定期的に片山敏彦のことを思い出してしまう。顔の良さだけで怪異を弱体化させる(※)一般人男性面白すぎる、顔の良さだけで異常世界をサバイブする男……。
※顔が良過ぎるので素顔を晒すだけで信仰が集まり怪異への畏れが弱体化する(は?)
その他(趣味)
藤田統三『パフェの発想と組み立て』
パフェ大好き、2023年は自作パフェを趣味にしたいくらいの水準で大好き。カクテルとかよりコンセプチュアルに組み立てられそうで楽しいと思われる。読んで考えたけど、パフェってつまるところ食感と甘味酸味と見栄えのパラメータのバランスを取る芸術であると思うので意外とベクトルで表現しやすいのでは。調理工程がないことが多い(要素の組み合わせ)のでプロットしやすいというか。
熊野純彦『西洋哲学史 近代から現代へ』
前巻の『西洋哲学史 古代から中世へ』に続けて読んだ。
下巻、カント以降からマジで難易度が一線を超えてきて後半かなり飛ばし読みになってしまった。ドイツ観念論の基礎を押さえてリベンジしないと…。シリーズ前巻も読んでわかったのは、アリストテレス・デカルト・カントが色々ややこしくしてるということ…。逆に考えれば、アリストテレスとデカルトとカントの思想から展開して哲学の大きな流れを押さえるというのはアリなのではないか。いつかリベンジする。
宮地正人 編『日本史 (新版 世界各国史 1) 』
おなじみ山川出版社より、日本史教科書ハードモードみたいな本。デカい。受験生の頃は全く気づかなかったけど1840年以降くらいから、日本の歴史って面白すぎる。学校とかで教えたほうがいいんじゃないか。
200年以上の鎖国によって国内政治がゆっくり先例重視・儀式重視になっていたところに西欧が東アジアで植民地政治を始めて危機感を持つところ、要は世界的な帝国主義の潮流に巻き込まれるところから日本の国際化は出発するわけだが、その後200年弱の国内政治の流れを追ってみても、そこから果たして民族としてどの程度進歩したのかというのは……どうなんだろうな。